【メガネ相談室#06】【悪用厳禁】中近で運転できるけど遠近を作る必要あるの? 第6回

メガネ相談室

この記事は、YouTubeでも配信しています。ラジオ感覚でお楽しみ下さい!

第6回メガネ相談室始めていきます。

今回のご相談は

「中近を日常的に使っていますが、遠くも見えるのでそのまま運転しています。先日、家族から危ないから遠近を作りなさいと言われました。中近で遠くも見えるのにわざわざ遠近を作る必要はあるのでしょうか?

では、お答えします。

「中近は室内用(~4m)のレンズのため屋外での使用は想定されていません。遠方の見え方は、鮮明に見えないので大変危険です。特に運転中は速度が速いのでとっさの時に対応が遅れてしまう可能性があります。レンズメーカーも中近の屋外使用や運転の使用は推奨しておりません。車の運転は、遠用メガネか遠近両用メガネにかけ替えて下さい。」

どうでしょうか?
このうたい文句聞いたことありませんか?
私は、店頭で一日に一回は聞いています。自分が言わなくてもスタッフの誰かが言っています

おそらく、どこのメガネ屋さんに行ってもこのような回答が得られると思います。
私も、この回答には賛成ですし、このように説明しています。

……というのが建前です。

はっきりと言いますが、中近で車の運転はできます(もちろん、自己責任でですが…)。

レンズの特性を知っている人や、仕組みを理解している人ならば中近で運転している人はたくさんいます。

でも、中近は遠くが見えないから危ないと言われていますよね?

相談者の方も周りからそう言われていますが、ご本人はどう感じているのでしょうか?

「遠くは見える」とおっしゃっていますよね?

メガネ屋さん曰く、中近では遠くは見えないのではなかったのでしょうか?

ここからは、

  • なぜ、本人には中近は遠くが見えるのか?
  • なぜ、メガネ屋さんは中近は遠くが見えないと言っているのか?

を解説していきます!

中近の仕組み

まず、中近の遠くの見え方を知るためには仕組みを理解する必要があります。

少し、ややこしいですが、なるべく簡単に説明していきます。

中近メガネを掛けたときに目と同じ高さにある位置加入度数の一部が追加されます。この追加された度数分だけ遠くが見にくくなり中間部分が見えるようになっています。

「???」だと思いますので一つずつかみ砕いていきます!

「目と同じ高さにある位置」

目と同じ高さにある位置とは、イラストで見た方が早いので下のイラストをご覧ください。

黒目の所に「中」(中間部の中です)と書いてありますよね。そこが、目と同じ高さの位置の所です。専門用語で「フィッティングポイント」「アイポイント」と呼ばれます。この記事では、フィッティングポイントと統一します。

このフィッティングポイントに遠くの度数が入っていますが、今回は分かりやすく度数が入っていない状態で考えます。

「加入度数の一部が追加」

加入度数

まず、加入度数とは老眼の度数のことを言います。

眼科の処方箋や、メガネ屋さんの度数データに「ADD」と書かれている数字です。

一般的な数字は0.75D ~ 3.00Dです。

「D」とはディオプターの略語で度数の単位です。(話がややこしくなるので詳細は割愛します。)

加入度数で一番多いのは2.50Dだと思いますので今回は加入度数を2.50Dで説明していきます。

加入度数の一部

加入度数の割合の事を指します。

数字で言うと、40%や25%などです。これは、レンズメーカーごとに変わりますので中近の基本である40%で説明していきます。

加入度数(2.50D)の一部(40%)とは、

2.50Dの40%なので

2.50D×0.40=1.00D

1.00Dとなります。

つまり、加入度数の一部が追加されるという意味は1.00Dが追加されるという意味になります。

ここまでまとめると

「中近メガネを掛けたときに目と同じ高さにある位置に加入度数の一部が追加されます」は、「中近メガネを掛けたときフィッティングポイントに1.00Dが加算されます」という意味になります。

ここまで大丈夫でしょうか⁉

もう、あと少しです!

追加された度数分だけ遠くが見にくくなる

フィッティングポイントには遠くの度数が予め入っています。今回は、遠くの度数がなし、つまり0.00Dで考えていますので

0.00D+1.00D=1.00D

最終的にフィッティングポイントに1.00Dの度数が入ることになります。

この度数の性質はプラスレンズ、つまり遠視の度数になりますので遠くが見にくくなります。皆さんが良く知っている視力で例えると、視力1.0見える人ならば視力0.6まで見づらくなるイメージです。

お疲れ様でした~

これが、中近の仕組みです。

簡単に解説したつもりですが、分かりにくかったら申し訳ありません。

よくわからん!!という方は

視力1.0見える人が中近をかけると視力が0.6くらいになると思ってください。

なぜ、中近で遠くが見えるのか

前置きが長くなりましたが、本題です。

視力1.0見える人が中近をかけると視力が0.6になると先ほど分かりました。中近では遠くが見づらくなります。

運転免許取得の条件は両目0.7以上なので0.6では運転できませんよね?

これが、レンズメーカーやメガネ屋さんが中近で運転をおススメしない理由です。

ただし、これは、中近の種類が1種類しかなかった時代のお話です。今は、中近にも種類が増えてきました。聞いたことがあるかもしれませんが、手元重視型奥行き重視型です。

手元重視型が従来からある中近です。加入度数の約40%がフィッティングポイントに加算されます。

奥行き重視型は、後発のレンズです。加入度数の約25%がフィッティングポイントに加算されます。

奥行き重視型のレンズで先ほどの例に当てはめると

フィッティングポイントに加算される度数は、

2.50D(加入度数)×0.25(25%)=0.625D≒0.6D

フィッティングポイント上の度数は

0.00D(遠くの度数)+0.6D(フィッティングポイントに加算される度数)=0.6Dとなります。

視力で例えるなら、視力1.0見える人が視力0.7~0.8になるイメージです。

あれ…..?

ざわついたそこのアナタ!

そうです、免許取得条件の0.7以上の視力が見えるのです。

そして、頭のいいアナタならもうお気づきでしょう!

視力1.2見える人が中近をかけてしまうと

手元重視は、視力1.2→0.7

奥行き重視型は、視力1.2→0.8~0.9

そして!そして!

視力1.5見える人が中近をかけてしまうと

手元重視型は、視力1.5→0.8

奥行き重視型は、視力1.5→0.9~1.0

となります。

なんと、中近で免許取得条件をクリアしてしまいます!

視力1.2以上ある方は、中近で遠くまで見えてしまうのです。

皆さん、お店で中近を作るときに視力を測ったことはありますか?

中近の仕組みを理解しているお店であれば測りません。

なぜなら……おっと全部言わなくてもわかりますよね。

中近で遠くが見えるという方は、視力が1.2以上ある方が多いです。

相談者の方は遠くの度数で視力1.5見えていました。中近での視力は1.0でした。おそらく、中近の奥行き重視型のタイプだったのかなと思います。

なぜ、中近が遠くは見えないと言われているのか?

メガネ屋さんが遠くは見えないと言っているのには、中近の基準があるからです。

その基準とは視力1.0でかつ加入度数が2.50Dの人です。

この基準でメガネはよく考えられています。

つまり、先ほどの例でもお話ししたようにこの基準で中近を考えたときに得られる視力は、0.6となります。

視力0.6くらいが中間(~4m)で見えるような視力ですからメーカーとしては運転は非推奨しているわけです。

当然、運転もできません。

これが、中近は遠くが見えないと言われる理由です。

中近常用にはデメリットもある

製造元が非推奨しているので当然、販売者側も非推奨で販売します。

但し、ここで注意が必要です。

視力が1.2以上あるからと言って必ずしも常に1.2とは限らないということです。1.2という視力は測定した時点での視力になります。

視力は日によって変動します。1.2以下になることもあります。また、視力は見る能力のほんの一部に過ぎません。他の見る能力に異常がきたした場合、連動して視力低下を引き起こすこともあります。

メーカー側もこのことを恐らく考慮していると思います。中近は、わざと目の前をぼかしているわけですので視力低下を起こした場合は、急激な視力低下に繋がるかもしれません。

メーカーも可能性がある限りはお客様の安全を考え中近での屋外使用は推奨できないはずです。

私は、冒頭でも述べた通り中近の屋外使用は反対意見です。

理由は、上記の理由と将来遠近を使用することが出来なくなる可能性があることです。

いやいや、視力1.5見えているから生きている限り中近使いますぜというそこのアナタ!

甘いです!

視力は年齢を重ねるごとに低下していきます。

80歳の方の最高視力は0.8見えれば上出来と言われています。

視力が1.0出ない方は多いです。

もし、遠くの度数をかけて視力が0.8ならば

手元重視型は、視力0.8→0.4

奥行き重視型は、視力0.8→0.5~0.6

遠くは非常に見にくくなります。

その時点で、遠近に変えると、遠近特有のユレ、歪みを感じて気持ち悪くなりメガネを掛けていられなくなります。80歳の高齢だと適応能力が低いですので、遠近に慣れること自体難しいです。現実では、60歳の方でも初めての遠近は、慣れることが出来ない方もいらっしゃるくらいです。高齢での初めての遠近はかけられないと思った方が賢明です。

それでも、ずっと中近を使いたいという方は、私に止める権利はありません。

しかし、中近を屋外で使用する場合や常用する場合は、リスクやデメリットがあることを忘れないで下さい。

メーカー、販売店(私も含めて)は非推奨です。

何かあっても私は責任を負いかねませんので予めご了承ください。

以上、メガネ相談室でした!

メガネ相談室では、日々の生活のお悩みやご相談をご紹介しています。

YouTubeでも動画配信していますので、ぜひ遊びに来て下さい!

タイトルとURLをコピーしました