黄斑前膜+白内障手術|眼内レンズの眩しさ対策【体験談#15】

オプトメトリー

前回の記事の続きです。(この記事からでもお話は分かりますので、このままご覧ください)

黄斑前膜+白内障手術の体験談の記事はコチラにまとめてあります。

この記事は、YouTubeでも配信していますのでラジオ感覚で聞き流してください。

今回のテーマは眼内レンズの眩しさとハロー・グレア現象に対する対策法です。

この記事での効果の有無は、私の場合だけ当てはまります。全ての方に当てはまるわけではありませんのでご注意ください。

3年経過した眼内レンズの見え方

以前の記事でもお話したように眩しさやハロー・グレア現象があります。

眼科でこのことを伝えると

「サングラスをかけると言いですよ」とか「ある程度は慣れるしかない」という軽い感じの返答が返ってきました。

その返答はもちろん私が納得するものではありませんでした。

眩しさにはサングラスは有効ですが、四六時中かけていられないですし、ハロー・グレア現象も発生すれば、サングラスでは見にくくなり不快さは変わりません。どうやら、眼科は手術した後の対処は弱いみたいです。やっぱり、眼の治療がメインみたいです。

そこで、本職のJOA認定オプトメトリスト/眼鏡作製技能士として眩しさやハロー・グレア現象の軽減の対策法を考えてみました。

  1. レンズカラーで対策する
  2. レンズのコーティングで対策する
  3. 高次収差を考慮したレンズを選択する

では、詳しくお話していきます。

①レンズカラーで対策する

眼科が提案したサングラスは、まったく効果がないかと言われればそうではありません。レンズにカラーを入れることで眩しさの軽減になることは間違いないです。

ただし、私の場合は、ハロー・グレアー現象があるのでサングラスだけでは対処できませんでした。

私の場合は、日中のみサングラスはとても有効的でした。レンズにカラーが入るだけで眼に入る光量が減り楽に見えました。

カラーと言ってもたくさんの種類があります。全てを紹介するのは難しいので眼鏡業界で主軸となっているものをご紹介します。

サングラスカラー(アリアーテトレスカラー)

眼鏡業界(J○NS、ZO○fなどは除く)では、サングラスカラーについては統一カラーを採用しているところがほとんどです。各レンズメーカーが統一カラーを採用しているためレンズメーカーが違ってもサングラスカラーは同一名称で同一カラーとなっています。現在の統一カラー名称はアリアーテトレスカラーです。レンズの価格表にこの名前があるところは統一カラーを採用しています。

一般的のサングラスカラーですので、光量を減らすためのカラーです。特徴として色が濃いほど眩しくなくなりますが、目の前が暗くなると瞳孔が開くため目の中に入る紫外線量が増えます。

もちろん、眩しさ対策以外にもファッションとしてカラーを入れることもあります。

私の場合、屋外では、ほとんどサングラスを付けています。無色のレンズでは眩しいので一年中つけています。

そして、サングラスも一本ではなく複数所持しています。

常に色が付いているサングラスや、紫外線量によって色が変わる調光レンズ、メガネにクリップで着けるクリップ式のサングラスを使用する環境に応じて使い分けしています。

サングラスは明るい昼間ではかなり有効的ですが、暗くなってくると見にくくなり使えなくなります。カラー濃度25%未満の薄めのカラーでは、夜間でも使用できますが、ハロー・グレア現象には全く効果がありませんでした。

機能性カラー(アイケアカラー)

見た目はサングラスですが、ただのサングラスではありません。ブルーライトなどの短波長を軽減することで眩しさの軽減やコントラスト向上が期待できるカラーです。

遮光レンズとも呼ばれることもあります。

レンズメーカーごとに名称が異なります。東海光学ではCCP、CCP400(F400)、SEIKOではファンクションカラー、Nikonではフィルターカラー、HOYAでは、キャリアカラーレチネックスの商品名で販売されています。

通常のサングラスカラーでは、色が濃くなるほど暗くなり見にくくなりますが、この機能性カラーは色が付いていても見にくくなりにくいというのが特徴です。

私の体感ですが、ハロー・グレア現象を少し軽減してくれました。あるかないかどちらが良いかといわれたらあった方が少しマシというぐらいです。

②レンズのコーティングで対策する

ブルーライトカット

短波長であるブルーライト(青色光)は、眩しさやチラつき、目の疲れの原因になっているかもと言われています。先ほどの機能性カラーもブルーライトをカットします。機能性カラーはブルーライトを吸収してカットしてくれるのに対し、コーティングのブルーライトカットは、レンズ表面で反射してカットしてくれます。それ故に、レンズの表面が青色に反射してレンズが黄色ぽっく見えてしまいます。(実際は無色ですが目の錯覚で見えてしまいます)。つまり、黄色が濃く見えるほどカット率は高いと言えます。

無色なので基本的には眩しいです。ハロー・グレア現象は少し軽減してくれるかな?というぐらいです。

光感度サポート

光感度サポートを考慮したコーティングにするのもありだと思います。「光感度サポート」はあまり聞き慣れないかも知れません。

光感度サポートとは、光の感度低下によってくすんでしまった視界に鮮やかさを取り戻させるコーティングです。

感度低下する赤色波長域での見え方に赤色補正を足すことにより、くすんで見えていた赤色を鮮やかにするのが特徴です。

年齢低下により水晶体が白濁したり、人工レンズ使用で感度低下が発生した場合に有効です。

ここで疑問が出てくると思います。

より鮮やかに見えたら眩しさやハロー・グレア現象なども余計に見やすくなってしまうのではないかということです。

安心してください。それらは増幅しません。

眩しさの原因となるのは主に短波長(青色光)の領域です。この光感度サポートは、長波長(赤色光)のみの補正です。波長域が違うため青色光は増幅されずそのままです。

「いやいや、減少されなかったら眩しいままではないか?」と思うかもしれません。

私は、逆の発想をしました。眩しさなどを軽減するのではなく、眩しさ以外の見え方を向上させて相対的に眩しさなどを感じにくくしようという発想です。

ここまで、言っておきながら実は私はあまりこの光感度サポートに期待していませんでした。

鮮やかに見える?そんなの変わらんだろうと…

なぜなら、実体験済みだったのです。
白内障や黄斑前膜になる若かりし頃にサンプル品で見え方を確認していました。
当時は、健康的な眼なのでこのコーティングを通しても全く見え方は変わりませんでした。

しかし、白内障や黄斑前膜の手術をした後に実際に作ってかけてみたら素晴らしいの一言です!

鮮やかに見えます!それは、不快な眩しさを凌駕しました!掛けた瞬間、視界に色が入りました。明るくなるというか輝いて見えるというか不思議な感覚でした。

メーカーの皆さま、疑ってしまい申し訳ありませんでした!これからはお客さまにこの光感度サポートの魅力をお伝えしていきます!

この光感度サポートの商品名はNikonの場合は「シーコート ネクスト・リヴィール」、伊藤光学なら「Anzu」です。

ちなみに、伊藤光学のAnzuは、コーティングではなくてカラーレンズになります。私の場合はNikonのシーコート ネクスト・リヴィールよりも伊藤光学のAnzuの方が効果は高かったです。私の場合はカラーがあった方が効果的のようです。

③高次収差を考慮したレンズを選択する

高次収差を考慮したレンズを聞いたことありますでしょうか?

そもそも、「高次収差とは何?」だと思います。

高次収差とは、メガネでは補正できない目の光学的な歪みの事です。近視、遠視、乱視などは低次収差と呼ばれておりメガネやコンタクトレンズで矯正が可能ですが、この高次収差は矯正できません。

高次収差は、角膜や瞳孔、水晶体などから発生しますが、視力検査から見つけることはほぼ不可能です。つまり、視力しか考えられないメガネ屋はこの高次収差の存在を知りません。

ではどうやって見つけるのかというと専門の測定器を使用して見つけます。

但し、この測定器は、すべての眼鏡店にあるわけではありませんし、全ての眼科にあるわけでもありません。測定器がある眼鏡店は少ないです。

高次収差が大きいと見え方にも影響を及ぼします。昼と夜との見え方が違う、コントラス感度の低下、暗い所での見えにくさなどを引き起こします。

この高次収差を考慮してレンズを作製することにより、視覚機能の向上を図るというわけです。ただし、注意していただきたいのは、高次収差を完全に除去することはまだ人類の技術では不可能です。あくまでも、軽減するということです。

それでも、高次収差を考慮したレンズは、従来のレンズよりも見え方の向上に一役買っていることは確かです。

取り扱いメーカーは、まだ少ないです。カメラレンズでも有名なZEISS(ツァイス)のi.Scription(アイスクリプション)や、Revra(レブラ)のM-POSレンズ(エムポスレンズ)があります。

アイスクリプション

ツァイスのアイスクリプションは、実際に作製して使っています。

これは、最高に素晴らしいレンズです。なんと!ハロー・グレア現象がかなり減少しました!光が収束するのです!そのため、景色がよく見えます!夜の空がより黒く見えるではありませんか!今までは、光があると白っぽくなって判別しづらかったのにすっきりと見えるではありませんか!

これは、私にとって最適なレンズです!

最初は、遠近を作ったので、中近を大量に作りたくてメーカーの営業さんに連絡しました。

すると、営業さんから衝撃な一言がありました。

「中近は製作していないんですよ、メガネズムさん…」

なんだってー!

こんなに見え方が良いのに何で中近作らないのーーー!

と当時は発狂しました。

やっと、理想の見え方に出会えたのに…

と落胆しました。(営業さんは悪くないですけどね)

しかし、ツァイスは凄いですね!やっぱり高品質なカメラレンズをずっと作っていることだけありますよね?

M-POSレンズ

私は、このM-POSレンズを作ったことはありません。申し訳ないです。

本当なら、実際に作ってかけて見たいのですが、なかなかその機会に恵まれません。

しかし、業界内では良いうわさ話を聞きます。どこの眼鏡店でもメガネを作っても疲れが取れない、昼と夜との見え方に差があって生活しづらい、暗くなると見にくくなるというお客さまにMーPOSレンズを試した結果、それらが改善されたというのです。

最近のカンファレンスでもこのMーPOSレンズでの改善例がいくつか報告されていました。また、MーPOSレンズか~と聞いていました。ここまで良い噂があると気になってきますし、自分も体験したいとうずうずしてきます。

もし、作製しましたら体験談を公開したいと思っています!

結局どれが効果が高い?

私が、眩しさやハロー・グレア現象に対して最も効果が高いと感じたのはツァイスのアイスクリプションです。これは断トツで見え方が良くなりました。欠点は、中近がないので仕事中や自宅ではあまり使えないことです。

高次収差を補正するのがアイスクリプションの特徴ですが、同じように高次収差を補正するM-POSレンズも、もしかしたら、同じような効果が期待できるかもしれません。ますます、M-POSレンズの期待値が爆上がりです。

私の場合は高次収差を補正するレンズが眩しさやハロー・グレア現象を軽減してくれました。個人差で効果は変わってきますが、眼鏡店にサンプルがありますのでサンプルを使ってどれが自分にとって高い効果が得られるか吟味してみて下さい。

<次回へ続く!>

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